2010-03

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退屈させていませんか?

3月28日はブログでお知らせしていた遺伝病の講演会があり、参加して勉強してきました。
「遺伝病」という言葉のニュアンスから考えていた事との違いや、そうした病気を研究している方の努力やご苦労など、考えさせられる事も沢山有りました。
改めて「知らないでは済まされない」という事を再認識してきました。
こうした勉強の機会を与えて下さったグレ母さんに感謝しています。貴重な機会を作って頂き、ありがとうございました。

本当はこの時に考えさせられた内容についてをまとめてみたいと思ったのですが、まだ自分の中で考えをまとめられるまでにはなっていないので、今回は全く違った内容です。

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フェイスの鼻のアップ・・・
何をふざけているかと言われそうですが、このスタイルはフェイスからの無言の抗議なんです。
「早く散歩に行こうよ!!!」という訴えのポーズ。
どういう態度をとるのが、私に対して有効なのかをフェイスなりにしっかり研究した結果たどり着いたようです。

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こんな表情も人の心には訴えてくるものがありますよね?
フェイスはこうした時は本当に巧みに表情を駆使してきます。決して実力行使をしないのも、子犬の時からの経験で身に付けてきたものです。

犬はこんな風にいろんな手段で人とのコミュニケーションをとろうとしています。
でも人の側はたとえ自分の家に居る時でも、犬と一緒に何かをする以外に沢山の用事があったり、自分なりにくつろぐ時間も必要だったりするので、こうした控えめな訴えを見逃してしまったりしがちではないでしょうか?

その結果として起きてしまうのが「問題行動」だったりします。
犬は自分からのお行儀の良い訴えが無視されるので、もっと強く人に対して訴えられる方法を見つけなければならなくなり、結果として「人に対しての甘噛み・飛びつき」「大事な物をくわえて持っていく」「家具などをかじる」といった実力行使に至ってしまう事もあるのです。
ただしこれらの「困った行動」も最初から人の気を引く行動としてするのではなく、たまたまそうした行動をした時に犬にとって「何か良い事」が起きたので、有効な手段として覚えてしまうだけなのです。

すでにこうした「困った行動」を覚えてしまった場合に、この行動を単純に叱っただけでは根本的な解決にはなりません。
困った行動を止めさせる事も必要ですが、それをしなかった時にはやはり正当な報酬として、犬にとっても「何か良い事」を与える必要があります。

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この写真のマシュ君は、私が「わざと」用事をしている間の姿です。(練習としてしているところです)
人が何かの用事をしている間は、「待っている」事をすでに覚えているので、「待て」というコマンド(命令)を言う必要は無いのですが、この表情はそろそろ終わるかな?まだ自分を構ってはくれないかな?といった期待に満ちています。
ちゃんと我慢してお行儀良くしていれば、その後で必ず自分を見てくれて、何か楽しいことをしてくれるという期待が持てていれば、犬は本当に辛抱強く待つ事が出来ます。

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そういった基本的な事が分かってさえいれば、こうしたカフェのような違った環境でも、同じようにしている事も出来るようになります。
どんな場所でも変わらずにお行儀良くして欲しいと思うなら、まずは基本的な事を犬にだけ守らせるのではなく、人の側も犬への義務を守らなければなりません。

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自宅では人にとってはいろんな楽しみがあり(テレビやゲーム、パソコン等など・・・)カフェであれば、お友達とのお喋りやお料理を楽しむ等など、うっかり犬の事を忘れてしまう場面はとても多いと思います。

そんな時に、こんな表情の愛犬が側でじっと自分の順番を待っているという事に気付いてあげて、ちょっとの時間でも一緒に何かをしてあげるという事をぜひ思い出して下さい。


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人の都合ばかりではなく

この前のお話で「私の都合で・・・」という事を書きましたが、フェイスは私の所に来たために、どうしてもいろんな場面で私の都合で何かをさせてばかりいます。

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前にも書いた動物行動学授業のお手伝いを始め、訓練デモンストレーション、訓練やアジリティーの競技会、供血、等など・・・
本当にいろんな場面での「私の都合」に付き合わさせられています。
決して優等生ではないフェイスなので、上手くいかない事もあったりはしましたが、8歳の今までどうにかやって来られたのはそれなりの適応力がフェイスに有った事と、こちらの都合に付き合わせる前後のフェイスの気持ちのケアについて、行動クリニックの小田先生からのアドバイスも受けられた事が大きかったと思います。

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アジリティーのような元々向いているように思われる事でも、以前のフェイスは酷いスランプ・・・というよりは全くやる気にもならない状態になってしまった事もありました。
最悪の状態に陥ってしまった頃は、たぶん私自身がフェイスの気持ちを思いやるという事が足りていなかったのだと思うのです。

犬との生活ではどうしても人の社会に犬の行動を合わせて貰う場面が多いので、知らずに人の都合を押し付けてしまっているでしょうから、どこかで犬の気持ちの負担を軽くしたり、息抜き出来る場面や思いっきり楽しめる事が必要なんだと思います。

主に仕事のパートナーとして一緒に行動しているフェイスやファジーと対照的なのが、ゴールデンレトリバーの「あんず」
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私が飼う事になった理由が小さ過ぎて発育も悪かったから、という事で最初から訓練をさせようとも思わずに居ました。
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のんびりマイペースの平和主義者、小さい頃に虚弱だった事を除けば、ほとんど手もかからず気付くといつも後回しにされる存在になっていました。
どこにそれ程自信があるのか、どんなに後回しにされていてもいつか自分の順番は回って来ると信じているような子です。

いろいろな犬たちと暮らしていて思うのは、どの子も私が自分の責任で飼う事を決めて引き受けたと言う事。
単純に全員を平等に出来ないのは、仕事柄仕方がない事なので、それぞれの子に合った付き合い方、その子にとっての楽しい事好きな事を考えるようにしています。

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甘ったれのあんずが一番嬉しそうな顔になるのは、私と一対一になっている時。
どんな単純な事でも私があんずだけを見ている時が一番幸せなようなので、何があってもあんずだけと一緒の時間を必ず作るようにしています。


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自然な事と不自然な事・発散と我慢

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悪天候の二日間が去って久しぶりに裏山へ散歩に出かけました。
この自然林には休日の日中は大勢の人が訪れていますが、夕方になるとほぼ貸切状態。
最近は日が長くなってきたので夕方でも充分に歩き回れます。

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どこにも人が歩いていない時のフェイスは、本当にのびのびとこの自然を満喫しているようです。

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何かターゲットを発見したようです。
立ち止まって振り向いている時は、ターゲットに向かって良いかどうかの確認が欲しい時。

「はいはい、どうぞ行っておいで」
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別に新しい物でもなければ、珍しいものでも無さそうですが、見に行って良いかどうかを聞いてくる事があります。
人には感じられない何かの変化があるのでしょうか?

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特に人が居る気配も無い時に何かに注意を向けていたりする時は、やはり人には感じ取れない何かの気配を感じているのかも知れません。

いつもと違っている事と言えば・・・
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あまりの強風のために何本もの木が倒されていたり、折れた枝が落ちていました。

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中にはこんなに大き木までが倒れていたので、フェイスにとって森の様子は今までと違って感じられていたのかも知れません。

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いつものように先頭を切って走りながらも何度も振り返ったり、戻ってきて確認していたりと、なかなか緊張感のある散歩になったようでした。
こうした場所で自然な環境の中での刺激を受ける事で、本来持っている自然な能力を発揮させられます。
もちろん大勢の人々とすれ違うような時間帯だと、こんなにのびのびとはさせられないのですが、この時間帯だと充分に自然を満喫して楽しめているようです。


自然の中での緊張感とは全く違った意味で、フェイスが緊張してしまう場面。
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それは「ドッグ・カフェ」です。
不特定多数の人や犬が行き交い、沢山の刺激を受ける場所です。
裏山の自然林のような場所では役に立つ鋭い感覚も、こうした場面ではかえってあだになってしまいます。

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フェイスにとっては「確認したい」と思える刺激があっても、ここでは我慢させる事になります。
「あれは気にしなくても良いんだよ」「平気だよ」と話し掛けると・・・
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ちゃんとこちらを向いてくれました。
テーブルに頭がくっ付いていますが、フェイスはどうもテーブルの下に居る事で気持ちを落ち着かせて居るので、これは仕方ないと思っています。

人工的な刺激に対しての反応性が高いフェイスなので、ドッグ・カフェで落ち着いて居るのはちょっとした試練です。
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こうした場面にも慣れて落ち着いて居て欲しいという要求は、あくまで私の都合なのですが、ここでの我慢もおやつの報酬と終わった後の運動や遊びでの発散によって、少しずつ学習出来てきました。
犬から見て不自然と思われる場面では、充分な配慮をした上で学習させてあげる事が大切だと思います。


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「知らないばかりに」

タイトルの「知らないばかりに」は小説の「黒馬物語」(アンナシュウエル著)というお話の中での一つの話に付けられていたものです。
私がこの物語を夢中で読んでいたのは小学校の頃で、当時家ではすでに犬を飼っていましたが、この物語がきっかけで馬にもとても興味を持つようになり、高校時代から社会人になって数年の間乗馬を習い、馬と触れ合う事が出来ました。

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(この写真はたまたま手元にあったもので、最近は馬と触れ合う機会は全くありません。)
高校時代はもちろん、社会人になってすぐの頃はまだ犬に関わる仕事をしてはいませんでしたが、この時期に馬と触れ合っていた事は、今でも犬との付き合いの中でとても生かされています。

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対象物が無いので大きさが分かりづらいと思いますが、この写真の馬は「ポニー」という部類で肩までの高さが140センチくらいの小柄な馬です。
ただし小柄なポニーと言えども、もちろん人よりも大きく力もとても強いのです。
犬とは違って何をするにしても絶対に「力づく」では何も出来ません。

私が乗馬を習っていたところでは、その日に乗る馬の世話はその乗る人が乗るための世話をする事になっていました。
この頃の体験が言葉の通じない相手に自分の意志を伝えたり、相手の感じている事を感じ取ろうとする基礎になったように思います。

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馬は体の大きさに似合わずとても繊細で臆病な面があり、世話をするためにこの写真のような一頭ずつの部屋(馬房)に入る時には充分に気を付けるようにしていました。
自分の家で飼っていて毎日触れ合っている犬とは違い、週に一度か二度位しか会えず、しかも毎回同じ馬を担当する分けでもないので、毎回会う度に相手の感情を読み取ろうとしたり、私自身を理解して貰おうと努力する必要がありました。

馬は特に自分からは見えない場所に人が居るのを怖がる事があるので、常に独り言のように何かを喋って居る事で私の居場所や、私自身の気分を伝えようとしていました。
この事は怖がりな犬に対しても効果があるので、今も良く利用しています。

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特にシャンプーやトリミングなど、犬にとってちょっとストレスになっているような場面では、何気ない事を喋り続けて居ると落ち着かせるのには効果があると思っています。

乗馬を習っていた頃は、もちろん乗って馬をコントロールしなければならなかったので、そのための本も良く読みましたが、その一つで今も役立てて居るのが、馬に乗っていて止まらせる時に「動かないと言う意志を伝える」という言葉でした。
「馬に止まれ」と命令するのではなく(ましてや止める技術云々ではなく)「意志を伝える」というのです。
もちろん技術的な事も書かれてはいましたが、何よりも大切なのは人が動くのを止める事によってその意志を伝えるべきという考え方でした。

そしてもう一つが最初に書いた小説「黒馬物語」の中の「知らないばかりに」の件でした。
その話(「知らないばかりに」)の内容はこの物語の主人公である黒馬が仕事を終えた時に、その世話をした少年が経験不足だったために、不十分な世話しか出来なかったため、その馬が肺炎になり死にそうになったというものでした。

この内容は今も何度も読み返していますが、全ての生き物を飼っている人にとって、その命を預かっている限りはその相手についての正しい知識を持っていなければならないという、とても強い戒めに思えます。
この章以外にもこの「黒馬物語」の内容は生き物の命を預かる人の責任の重さを考えさせられる部分が多くあります。

馬に関しての本に比べるとその時代の犬に関する書物は、まだまだ「行動学」といった考えとは程遠いものばかりでした。
特に「しつけ」や「訓練」に関しての考え方は罰や強制を主体としたものが多かったように思います。
これらの馬に関して書かれていた内容、そしてその時代の経験は当時ちょうど自分の犬を飼い始めた私にとって、そして今となっても、コミュニケーションをとる上でとても大切なものとなっています。


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緊張させない配慮で不安や恐怖を乗り越えさせる

ここはフェイスかかりつけの病院の待合室。
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フェイスは病院に行くのは平気なのですが、今日はちょっといつもとは違います。

一回目はすぐに診察室に呼ばれて・・・
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上の写真はその後再び待合室に戻った直後ですが、フェイスお得意の緊張ポーズ=前足を両方胸の下にたたみ込んでいます。
フェイスさんにしっかりバレてしまいました。
今日の病院の用事はフェイスの診察ではなくて「供血」だったのです。以前の記事はこちら「出動」
フェイスは度々この供血=輸血用の採血を経験していますが、一般的な検査のための採血とは違ってある程度時間のかかる輸血に必要なだけの量の採血はやはりちょっと苦手です。

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少し時間が経って、片足が出てきましたが、まだまだ緊張しています。
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一度目の採血の後、輸血相手の患犬さんの血液とのクロスマッチや、フェイス自身の健康チェックのための検査があるので、のんびり待っている間にフェイスは大好きなおやつを食べつつ、少しずつリラックスしてきます。

すっかり緊張も解けてリラックスしてきた頃にお呼びが・・・
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上の写真は診察室での実際の写真ではなく、帰ってきてから撮ったものですが、採血は首の血管からするのでこんな感じでフェイスを診察台に横たわらせます。
こうして改めて見ても動物にとって一番の急所である首を差し出す「本能的な恐怖や不安」は絶対にあるだろうと思います。
それでも診察台に載せて首からの採血の間は、フェイスが体を動かさないように押さえ込みながら、出来るだけ普通に声をかけたり獣医さんやスタッフの方たちと会話を続けたりする事で、フェイスの緊張感を和らげるようにしています。
飼い主である私がいつも通りの普通の態度を見せる事で、緊張を高めさせずに不安や恐怖を乗り越えさせて我慢して貰っています。

今回も獣医さん始め採血の場は全員が女性で、フェイスは緊張しすぎる事も無く、僅かに抵抗はするものの無事に150CCを採血させてくれました。
しかも今回の採血には新しい機器が導入されていて、以前よりもずいぶん負担が軽くなったようでした。
犬のための医療はどんどん進化しているというのを、ここの病院に来る度に実感しています。

採血終了後にフェイスには補液の点滴をして貰って全て無事に終わりました。
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診察台から降ろす前にもおやつを食べたフェイス、今回はもうちょっとだけ頑張って貰って撮影にも成功。
以前はかなり怖がっていた時期もあったのですが、ここ数回で随分と余裕が出てきたようです。
フェイスにとってはもちろん辛い事だとは思うのですが、こうやって頑張った事で助けられる命があると思うと、出来るだけの配慮をしつつ貢献して貰いたいと思っています。

家に帰ってきてから点滴の後に前足に巻いて貰った包帯を外して・・・
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いつもの甘ったれのフェイスに戻りました。
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今日は良く頑張りました、お疲れ様!


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いつでもやり直しは出来る・・・もちろん努力は必要です

犬のしつけで良く耳にする「社会化期」についての話題。
札幌動物行動クリニックの小田先生によると、もちろん犬にとって「社会化期」は大切な時期ではあるけれども、その時期を逃すと全てがダメだという訳ではないという事を言われます。

私は以前何匹かの犬を、大人になってから引き取った事があります。
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この犬は中型のミックス犬で名前は「ポチ」
元の飼い主さんに飼育放棄されていて、縁があって世話をしているうちに引き取る事になりました。
当時推定2歳でしたが、以前は外で繋いで飼われていました。

来た当初は散歩に連れ出すと腕がちぎれそうな程ひもを引っ張って歩いていました。
とりあえず引っ張らずに歩く事を教えて、後はのんびり様子を見ているうちに、初対面の犬と親しくなるのがとても上手な事が分かってきました。

ポチがすっかり我が家の一員として馴染んだ頃にやって来たのが・・・
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ジャーマンシェパードの「ベル」
ベルはメスなのにとても大きくて当初体重が40キロ近くあった上に、ずっと番犬として外の檻で飼われていた犬でした。

番犬として飼っていた会社の都合で、飼い続けられなくなったものの普通の家では飼うのは無理な犬でした。
ジャーマンシェパードの性質として、限られた人とだけしか触れ合わずに育つとなかなか親しい人以外には懐きづらいという事もあって、懐いて貰うのにはたぶん一番苦労した犬でした。

ベルから見れば私の所に来なければならない事情など分かるはずもなく、まるで拉致監禁されたかのような気分でしばらくは居たと思います。
人の事情でいきなり知らない場所に連れて来られて、不安だったでしょうし、無理やり連れて来た私を敵だと思っても仕方ない状況です。

幸いな事に当時私が住んでいたのは田舎で、近所には農家しかない環境。時間にも余裕がありました。
毎日ご飯をあげたり世話をする間はベルを直接見る事はせずに、ずっと何か独り言のように喋りながら、私が危険な相手では無い事を感じて貰いました。

そして少しずつ環境に慣れてきたベルの気持ちを開くのを手伝ってくれたのが、ポチでした。
ポチはベルが来た頃にはすっかり甘ったれになっていて、ベルから見える場所で私とポチが遊んでみせる事で、次第にベルが私やポチを受け入れてくれたように思います。

一番最近、といってもすでに6年も前になりますが・・・
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「ファジー」も私の所に来た理由の一つが「問題児」だった為でした。
まだ9ヶ月のトイプードルという事なので、きっと他にも飼ってくれる人が居るだろうと思っていましたが、ファジーは思ったより手強い相手でした。

はっきりした理由は分かりませんが、何故か人に触られるのが苦手。
抱っこしようとすると必死で逃げ回り、無理に捕まえようとすれば当然のように噛もうとします。
オモチャや食べ物への所有欲もとても強くて、ハウスの中にオモチャやガムなどを入れてしまうと取り上げられない状態でした。

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ファジーにもまずは信頼して貰えるまで、決して無理な事はしなくて済むように環境を工夫してあげました。
所有欲もオモチャを使って遊びながら「守らなくても大丈夫なんだ」と思えるように出来ました。

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そうしているうちにファジーはとても学習意欲が旺盛なのが分かり、トレーニングを楽しんで覚え、誉めて貰える事をとても喜んで誇らしくするようになっていきました。

私の所に来たこの犬たちは、たぶん大切な「社会化期」にあまり良い学習をする事が出来ていなかったと思います。
その事は犬にとって可愛そうな状態ではあったでしょうが、気を付けて根気良く教えてあげる事さえ出来れば、必ずやり直しは出来るのです。

そして、小田先生も良く話されている事ですが、人に飼われている犬にとって大切なのは、人から関心を持って貰えるという事。
犬は元々が仲間と協力したいという気持ちを持っている動物なので、一緒に暮らしている人の「役に立っていたい」人から「認めて貰いたい」と思っているという事です。

ポチは本当に初めて会う犬とも上手に付き合ってくれる犬でしたので、犬が苦手だという相談の場面ではいつも活躍してくれました。
ベルは番犬の役目はもうしなくて良いというのがなかなか難しかったですが、リラックスして過ごす事が出来るようになり、オモチャを使って人と遊ぶ事を楽しめるようになって、数人の仲間と仕事をしていた時には私以外のスタッフの世話もちゃんと受け入れるようになっていて、簡単なトレーニングも出来て可愛がられていました。

ファジーは7歳になった今もトレーニングのデモンストレーションや、ポチが得意だった犬に慣れるトレーニングでも活躍しています。
ポチもベルもすでに亡くなっていますが、この犬たちからは私が逆にいろんな事を教えて貰えたと思っています。

犬にもし何か困った部分が有るとしても、その部分にばかり目を向けるのではなく、その犬が求めている事、得意な事を見つけてあげるのもとても大切で、それが出来ればやり直しは必ず出来ると思います。
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ファジーが来たばかりの頃では想像も出来なかった今のこの二匹の姿を見ると、犬の持っている可能性はとても大きいと思えるのです。


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犬たちの何気ないしぐさを見る

散歩中のフェイス
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鼻面に雪を乗せたまま何かに注目してます。
フェイスの場合は散歩中もいろいろな事が気になってしまうので、細かな動作や表情をなるべく気を付けて見るようにしています。

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こちらは以前にも登場したフェイスとレオ君の二人連れ・・・気ままに歩くフェイスとストーカーレオ君。

散歩中とは違ってドッグ・ランの中だと、犬が気にしがちな場所は限られています。
特にアジリティー練習の合い間で、私が気になるのは犬たちの歩調・足の動きや体全体の動きのバランスなので、出来るだけ犬たちがリラックス出来るようにさせて、自然な動作を観察しようとしています。

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アジリティー練習では犬も激しい動きをするので、練習の合い間や終わった後のクールダウン中の動作を観察して、不自然な動きをしていないかを確認して、どこかを傷めていたりしてはいないか注意しています。

こちらは室内の練習場ですが、この場合も全く同じです。
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練習を始める前に動きを見る事、合い間や終わった後の確認。
室内の場合の方が足が滑りやすい事もあって、なるべく無理の無い練習内容にしています。

自然な動きを見せて貰うためには、私もなるべく自然な態度をしていて、観察している事を気にしないで居て貰いたいのですが・・・
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ヴィヴィちゃんの向こうに居るパピ君にはしっかり気付かれてしまいました・・・

ちゃんと休憩してリラックスしてほしいので、「観察している!」と思われないようなさり気なさが大切・・・
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どうにかパピ君の注目を外す事に成功しました。そのまま自然な動きをする事を期待します。

      こちらは大失敗の場面・・・
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長くカメラを向けていたので、ヴィヴィちゃんからのカーミングシグナル。
画像をクリックして大きくして貰えると、ヴィヴィちゃんが舌を出しているのが見えると思います。
「そんなにカメラ向けてると緊張するよ~」といった気分でしょうか?

犬たちは人のように言葉は話しませんが、前回にも書いたように本当に全身で感情を表現しています。
そっと自然に観察していると、いろんな事が分かってきます。

私達人は言葉のやりとりをする事に慣れているので、つい何気ない動作や表情を見逃してしまいがちです。
反対に犬たちはとても良く人の事を見ています。
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パピ君は特に良くこちらを見ています。
他の子の動作を見ていて、ふとパピ君を見ると、こんな風にこちらがしっかり観察されているのに気づきます。
相手を良く観察して相手の事を知ろうとする能力は、たぶん犬の方が一枚上手ではないかと思います。
私達人も出来るだけ犬の事を知るための努力が必要なのだと思います。

顔の表情だけではなく、体全体を見る事でさらに多くの事が分かります。
例えば同じチワワさんでも、みんな尻尾の付いている位置や、立てる時の形や高さなどが違います。
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自然な状態でこの子の尻尾はどうなっていて、元気なとき興奮状態ではどうか?怖い時はどうなるか?
尻尾に限らずみんなそれぞれ体の作りも違い、表現の仕方も様々です。
一匹一匹に対しての何気ない普段の動作の観察が、いろんな時に役立つ事と思います。


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表情を見てあげる事の大切さ

犬たちはとても表情が豊かですよね?
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チワワさん一家の末っ子「パピ」君、インディアンボーイズケネルさんの室内ドッグ・ランで、楽しそうにしています。
耳と目は前方に向いて顔全体の表情はリラックスしていて、耳の後ろに少し見える尻尾は立っています。
不安な様子も緊張感も無く、なんとなく何かを期待しているような、楽しそうな表情です。

こちらは別な日のパピ君。
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          上の写真と比べると対照的です。
          耳を後ろに引き、目は閉じかけていて、尻尾は下がり腰もやや引き気味です。
          何かに驚いたような、少し怖がっている感じです。

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             この写真も緊張した表情で様子を伺うような動作に見えます。

こんな風に良く観察していると、犬は体全体でいろんな感情を表現しているのが分かります。
表情をしっかり注意して見てあげられれば、犬に何かを教える時にとても役立ちます。
新しい環境に慣らす場合には、特に表情を見てあげてから教えるようにする事が大切です。

緊張している時には、助けてあげなければなりません。
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チワワ一家の長男「マシュ」君。
体の一部、特に肩のあたりを触ってあげる事で、緊張や不安を少なくしてあげられます。
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ほんの僅かですが表情が変わっているのが分かるでしょうか?

良く見てあげる事さえ出来ていれば、少しの表情の変化にも気付く事が出来ると思うのですが、残念な事に犬の表情に気付かずに無理な事を言っている場面に出会う事があります。

例えば犬を床に置いた状態で「おすわり」させようとする時。
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もしも上の写真のような表情をしていたなら、とても「おすわり」が出来るような気持ちにはならないでしょう。
この写真のパピ君は何かを怖がっていて、不安な表情です。

この写真の場所はドッグ・カフェではありません。もしドッグ・カフェの床でパピ君がこんな表情になっていたら、床に置いたままで写真を撮っている余裕はありません。
まだドッグ・カフェに慣れていないパピ君には、そこの場所で怖い思いや不安な気持ちにさせたくは無いからです。

ではどんな表情の時だったら床での「おすわり」が出来るかと言うと・・・
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今度はカフェに慣れているマシュ君に「おすわり」をさせようとします。
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マシュ君、すんなりとおすわり出来ました。私に対してとても集中しています。
マシュ君は立っている状態の時にとてもリラックスした表情でした。
緊張や不安な様子が無い、こんな表情の時には犬は安心して「おすわり」が出来ます。

ドッグ・カフェに慣れていなくて、緊張したり不安な気持ちになってしまう犬の心理を分かってあげて、無理な事をさせるのではなく、安心していられるような工夫をしてあげて欲しいと思います。
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小さい犬の場合は飼い主さんと一緒の椅子に座れば安心出来ると思います。

その犬が今の時点で何が出来るのかが良く分かっていれば、一つ一つ出来る事を積み上げていく事で犬に自信を持たせる事が出来ます。
根気良く自信をつけてあげられれば、出来る事は少しずつ増えていきます。
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表情の変化を見極めて無理をさせずに、犬の可能性を信じて教えてあげたいですね。


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プロフィール

中野 弥生

Author:中野 弥生
JKC公認訓練教士、JKC公認トリマーC級を持ち日々ドッグトレーニングと“時々”トリマーとして活動しています。

画像のパートナーは我が家の相棒1号〝まだら〟のあだ名を持つオーストラリアンシェパード〝フェイス〟です。
この愛しくも一筋縄ではいかない相棒との悪戦苦闘ぶりと、ドッグトレーナーとして日々思う事などを綴りたいと思います。

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